俺の勤め先は市内中心街のビルに入居している。
一階には某警備保障会社が入っていて、そのビルのセキュリティは彼らが守ってくれているので安心。

今年の夏。
完全移転を前に、事務所内のインフラ整備を進めていた頃、
新しいセキュリティシステムに不慣れな担当社員がキーの解除を忘れたまま事務所に立ち入ったところ、ものの1分程度で屈強なガードマンが突入してきて、その素早さに驚いたのだという。

さすがだぜ。
やっぱプロは凄ぇな。


で、昨日のこと。
午前中に事務所内の空調点検があるとのことで、朝っぱらから事務所に向かった俺。

一枚目の自動ドアをくぐり、エレベーターホールに入るためのセキュリティキーを取り出そうとポケットをまさぐっていると、なぜか警報が鳴りだした。

「えっ!?俺、まだ何もしてないよ?」と思うが早いか、気づくと背後にはガードマンが…。

しかもだ、
どうせ休日出勤なので社員以外に会うこともないだろうと、普段のいでたちで行ったのが間違い。
・ゴツゴツのライダース
・革手袋
・脛までのブーツ
・いつもの度付きサングラス
・縛ってもいないバサバサの長髪
・仕事用カバンも持ってない手ブラ

良く考えたらこれ、どう見たって仕事しにきた格好じゃないし、
むしろ「オフィスビルに何しに来たの?」って感じの、絵に描いたような「The 不審者」。

「キーはお持ちですか?」と聞いてきたガードマンの手には警棒。
返答次第ではボコボコにされるんだろうか?

幸いなのは、当然ながら俺がキーを所持していたこと。
「これ…あの…鍵…」と慌てて差し出す様子が余計に怪しかったと思うけど、とりあえずは警報を切ってもらえた。


「人は見た目ではない」とは言うけれど、プロから見て怪しいものは、やはり社会通念として怪しいんだろうと思う。

以前とある身内から言われたのは、
「今は長髪や革ジャンなんて若い連中のファッションでも一般的だけど、お前の場合はそういう“ポップさ”とは別問題。なんともいえない負のオーラが出ている。第一、目つきが悪い」と。

かと言って、
イイ人そうに見せたいが為に、髪をバッサリ切って「休日のパパ」みたいな格好なんかしたら、それはそれで仲間から「何かあったのか?」と不審に思われるのだろう。


どっちに転んでも不審なら今のままでイイや。